僕のクルマ暦 ～アコードSiR-T～

プレリュードを廃車で失った後、しばらくクルマに乗る気も出なかった僕だが、中途半端に田舎な所に住んでいたため、クルマの必要性を感じ始めていた。

事故から約1年後、クルマ購入の検討開始。
それまでクルマにたいした興味がなかった僕だったが、この検討過程で色々と調べていくにしたがって、だんだん興味が芽生えてきていた。
この時は、MINIの時とは違って色々と考え、悩み、友達に相談し、ディーラーも色々と回ったものだ。
その過程が非常に楽しくもあった。
最終的に、友達にクルマ好き（特にスポーツ系）が多かったことが、僕のクルマ選びに影響を与えた。
（アコードを買ったことで、ガッカリされたりもしたが）

しかし、アコードといえばワゴンという時代に、なんで敢えてセダンのアコードを購入したのか。
今振り返ってみれば、その選択は正解でもあり、不正解でもあった気がする。



アコードSiR-Tを買った理由は、割と単純だ。
当時アルテッツアの登場でスポーツセダンが注目を集めはじめていた。
僕も最初はアルテッツアが欲しかったのだが、値引きがなくて予算オーバーなこと、ネッツの担当者の態度が鼻持ちならなかったこと、事故の経験からテールハッピーなFRが怖かったことで、候補から脱落したのだった。

当時のスポーツセダンと言えば、レガシーB4も発売されたばかりで注目されていたが、これも予算オーバー。特にRSKなんて絶対無理という感じだった。
それでもスポーツセダンが欲しかった僕が、アルテッツアとB4の影に隠れて密かにスポーツしていたVTEC搭載のアコードに注目したのは、まぁ自然な流れだった。

スポーツセダンというコダワリに加えて、ナゼかマニュアル車に乗りたくて仕方なかった。
多分これは友達のせいだろう。マニュアル比率が異様に高かった。
SURFをマニュアルで乗ってるヤツまでいた。

だから、アコードの中でも選択肢は決まりきっていた。
マニュアル専用でVTEC搭載200馬力の孤高のグレード、「SiR-T」。
それしか自分にピッタリのものはなかった。

中古で買うことを考えていたのだが、希少車だけに玉が少ない。
とりあえずカタログを貰いに行った近所のディーラーで、捕まった。
感じが良くて、何よりクルマが好きそうな営業マン。
色々と楽しく世間話していくうちに、なんとなく購入モードへ。
競合社の見積もりを持っていたので、それなりの値引きはあった。
それでも当初予算をやや上回り、気合いの5年ローン。
そんなこんなで購入に至った。

ホントにいいクルマだった。
VTECをマニュアル運転する楽しさ、気持ちよさ。
あれはホントに忘れられない。

絶対的な加速ではスポーツカーに当然負けるが、それでも十二分に「速くて気持ち良い」クルマだった。
またあらゆる操作が軽快で、ものすごく運転しやすいクルマでもあった。
高速やカーブでの安定感も高かった。
そして4人が不自由なく乗れるスペース。
プレリュードとは何もかもが違っていた。

当時の雑誌やネットの批評記事でも、クルマ評論家の評価は結構高かった。
「FFのBMW」なんて評価もあったほどだ。
特に良く言われていたのがリアのスタビリティが高いこと。
確かに元気良く走っていても、アンダーでヒヤっとすることはあったが、テールスライドしたようなことは一度もなかった。
（当然そんな腕もなかったワケだが）

不満だったのは、スタイリング。
ノーマルでは、ただのオヤジセダン。
前後のオーバーハングも長く、なんとなく「塊感」のないデザイン。
内装はスポーツグレードらしからぬ木目パネルに、渋い5本スポークのハンドル。
その辺が、モディファイをする直接の原因になった。

痛恨だったのは、ユーロR登場とそれに伴うグレード消滅。
アルテッツアとかB4への対抗としてユーロRが颯爽と登場し、いろんな所で絶賛されているのには、正直悔しい思いをした。しかも最悪なことに、駐車場の隣のクルマがしれっとユーロRになったのだ。
おいおい、少しは気を使えと。

しかし、今では逆にユーロRじゃなくてSiR-Tなんて希少でマイナーなグレードが、愛しくなったりもしている。ホントに気持ち良く走り、良く曲がり、使い勝手も良い、いいクルマだった。
全く後悔はない。

しかし、なんでそんなにスポーツセダンが欲しかったのか。
当時は独身だったので、クーペの選択だって可能だったハズなのに。
実際インテグラTypeRとかシルビアS15も検討はしていた。
思えば、当時友達3人でクルマに相乗りして通勤していたことが大きかった。
一人はクーペに乗っていた。狭かった。
一人はインプレッサだった。快適だった。
だから4ドアが欲しかった。それだけ。

でも、結局結婚してから2ドアのMINIに乗ることになった今だから、思うこと。
インテRでも良かったかなぁ。なんて。
あと、あんなにイジるんなら中古で良かったなぁ。なんて。