GoogleのFlipboard対抗と言われる「Google Currents」が始まった。
現時点ではアプリが米国内のみの提供となっているということで、お馴染みのMarketEnablerを使ってアプリをゲットしてひと通り試してみた。
一方のFlipboardは、登場時にiPadで使って「イマイチ」と思って以来、全く使ってなかった。
先日、iPhoneサイズに対応したということもあり、この機会にiPod touchで再度試してみたら、登場時に比べて随分と進化しており大きく印象が変わった。
iOSデバイスを常用しているなら毎日でも使いたいほどのアプリになってた。
(ボク自身はAndroid常用派なので残念なところだ)
ということで、両者を使ってみて出た結論は「全然Flipboard対抗になってねぇ…」というもの。
まぁ出たばっかりのCurrentsと熟成を重ねてきたFlipboardを比べるのは酷というものかもしれないが、現時点のCurrentsはFlipboard対抗というよりはせいぜいFeedly対抗くらいの機能しか持っていないという印象。
まぁこのPVのとおり、Googleアプリらしからぬオシャレさを備えたアプリで、モバイルデバイスで「読む」ということに関しては悪くない感じなので、今後に期待というところか。
あとは日本語対応だが、「Google Currents producer」のお陰でメディア側の対応はそれほど難しくないと思われることから、そう遠くない将来にリリースされるのではないかと思われる。
ということで、以下にカンタンに紹介。
Currentsを使ってみる
アプリをインストールして起動すると、デフォルトで登録されているチャンネル(Currentsではこれを「Edition」と呼んでいる)が表示される。
画面下部のボタンで更新をかけると、各Editionから取得してきたコンテンツからスプラッシュイメージを取り出して上部に大きく表示させる。このスプラッシュイメージは一定時間で自動的に切り替わっていくので、ボーっと見てるだけでも楽しげだ。
この画面を左にフリックしていくと、個別記事のサマリが写真付きで表示されていく。
基本的にCurrentsはこうやって横にフリックして読んでいく感じ。
FlipboardのiPhoneサイズ版が縦にフリックしていくのとは対照的な操作だ。
読みたい記事をタップすると個別記事のページに遷移。
INSTAPAPERとかSafariのリーダー機能のようなシンプルで読みやすい表示だ。
記事が長い場合はこれまた横にフリックしていくことで読み進めていく。
当ブログのような長い記事の場合はこれが30ページくらいになって、フリックしていくのが少々面倒に感じるのはマイナス点かもしれない。
どちらかというとFlipboardの縦にスクロールして見ていく形式の方が好きかも。
ちなみに「See original article」というボタンを押すとアプリ内蔵のブラウザで表示される。
iOSアプリでは当たり前の動作だが、Androidアプリとしては珍しいので少しビックリした。
Editionの追加
さて、デフォルトで登録されているEditionだけじゃ面白く無い(英語だし)。ということで、読める記事を増やしてみよう。
Editionsの最後に表示されている「Add more」を押すことでEditionを追加できる。
Edition追加の方法は主に3つ。
ディレクトリ型に整理された中からEditionを選んでいく方法が1つ。
現時点では初期パートナーの英語サイトばかりなので、自分的にはコレはパス。
2つ目はGoogleリーダーと連携させる方法。
Add more画面の下の方にある「Google Reader」を選ぶと、自分のGoogleリーダーに登録しているRSS達がズラっと表示される。この中から「Add」でガシガシと追加していけば良い。
この辺りは見た目の良いFeedリーダーとして有名な「Pulse News」と同じ感じかな。
Editionを追加する3つ目の方法は検索だ。
Add more画面の一番上にある「Search」から興味のあるWordで検索をかけてみる。
検索結果がズラっと出てくるので、そこから「Add」を選べば良い。
ちなみに上のスクショは「Apple」「Android」「SONY」といったWordで検索した結果。
こんなビッグワードなのに数ある有名海外ブログに混じって当ブログが上位表示されているのにはちょっとしたワケがあるが、これは長くなりそうなので別途エントリー予定。
(っつっても単にProducer使うだけなんだけどね)
とりあえずGoogleリーダーからいくつかのお気に入りブログをAddして元の画面に戻ってみた。
するとアイコンがズラっと増えていたので、ここで同期をかける。
各アイコンはFeed名の頭文字が表示されてるだけで少しマヌケだが、同期が終わると各エントリ内のイメージがアイコンとして表示されるようになる。
なお登録したEditionの削除はアイコン長押しで可能だ。
同期が終われば、あとは個別の記事を読んでいくだけだ。
動作もサクサクとしているし読みやすいので「コレはなかなか!」と最初は思っていた。
ちなみに同期の設定などの諸設定は歯車アイコンで出てくるSettings画面で可能。
オフライン用に画像を取得することも可能だし、同期間隔の設定や、WiFi接続時や充電時のみ同期を行うというような設定も可能になっている。
個人的にはオフラインでも読めるという設定があるのが気に入った。
これはGoogleリーダーのクライアントアプリとして活躍してくれるのでは!と期待した。
だがしかし…。
残念なGoogleリーダー連携
結論から言うと、Googleリーダークライアントとしては全く使えない。Googleリーダーとの連携はFeedをそこから追加できるというだけにとどまっており、Currentsで記事を読んでも既読/未読のステータスはGoogleリーダーに反映されないのだ。
つまり現状は単に「見た目がキレイなRSSリーダー」にとどまるとの印象。
一方のFlipboardのGoogleリーダー連携はこの辺りが完璧だ。
スターを付けたりも出来るので、簡易Googleリーダークライアントになり得る。
ここは大きく差が付いていると言える。
つまり現状では、Google連携機能だけ取って比較してもFlipboard対抗とは全然言えず、せいぜいFeedly対抗という程度なのが現状だ。
いや、Feedlyは既読管理がちゃんと連携できるしスターも付けられるのだからFeedlyにすら勝ててない。
となると、Pulse News対抗程度って感じかもしれない。
タブレットで使ってみる
次にXperia acroからアプリをぶっこ抜いてSonyTablet Sに入れてみた。
同じアプリだが、タブレットで起動すると自動的にタブレットの表示になる。
この辺はCSSで制御している模様。
ナイスなのは、起動直後からスマホで登録しておいたEditionがキチンと反映されていること。
Googleのクラウド側で管理されているようで、マルチデバイス対応なのは嬉しいところ。
さすがにタブレット用のレイアウトは見やすい。
ただ、個別記事はデフォルトでは2カラムの表示となっており必ずしも読みやすくなかったり。
この辺の表示は提供Edition側で制御することは可能なのだけど、ユーザー側では設定できないのが残念。
作りこまれたEditionの場合は…
Googleリーダーとの連携では単なるRSSリーダーにしかならなかったが、Currents全体が単なるRSSリーダーなのかというと、必ずしもそういうワケではない。
というのも、初期パートナーのような作りこまれたEdtitionの場合は、単に記事のRSSを配信しているだけでなく、YouTubeのチャンネルやFlickrのPhotoStream、Google+のアップデートなどをまとめたコンテナとして提供されているからだ。
この辺は「Google Currents producer」を使うことで、Editionの提供側でカンタンに作り込むことができるようになっている。
もう一つ、タブレット版を使ってて気づいたこと。
タブレット版だとEdtitionの追加のボタンが「Add for free」となっている。
コレってつまりfreeじゃないものが出てくるってことだろう。
Currents用に作りこんだEditionを有料で読むという使い方が容易に想定されるところだ。
以上、Currentsアプリの概要をザックリと紹介してみた。
Flipboard愛用者なら「え、これだけ?」と思うだろう。
マジで今のところはこの程度しかできないっす。
久々に使ってみたFlipboard
さて、Currentsが対抗してるというFlipboardも久々に使ってみたので、比較のためにカンタンにスクリーンショットなどを上げておこう。
まず起動した瞬間に思ったのは「シャレオツ度が違いすぎる!」ってこと。
Currentsも十分オシャレだと思えたのだが、やっぱり本家は次元が違った。
Flipboardでは写真がより多用されているのでそう思えるのかなぁ。
それともiOSアプリとAndroidアプリの超えられない壁なのか…。
で、それ以上にCurrentsとの超えられない壁を感じるのがアカウント連携の多彩さと深さ。
Twitter/Facebook/GoogleReader/Tumblr/Flickr/Instagram…と多彩な連携が魅力。
CurrentsはTwitterやFacebookとさえ連携できていないのに…。
更にそのアカウント連携も、Currentsみたいなチャチなものじゃない。
Googleリーダーは既読/未読のステータス同期やスターの連携が可能だし、TwitterならFavやRT、FacebookはLikeやComment、TumblrならReblogやLikeなどなど、各サービスの主要な機能がFlipboard上でそのまま使えるのだ。
いわば、各サービスのクライアントアプリとしてそのまま使える実用度。
この実用度でありながら美しいワケだから、これは素晴らしいなと。
Currentsにあるオフライン機能もカバーされてるのかよく分からなかったが、Read laterサービスとも連携しているので、そっち側のサービスでオフライン対応は可能なのだろう。
Currentsは狙いが違うのかも?
ということで、比較してみると想像以上に圧倒的な違いがあると個人的には思ってしまった。Currentsが本当にFlipboard対抗なのであれば、各種サービスとの深い連携機能など、今後実装していかなければいけない機能がまだまだ数多くあるという印象だ。
一方で、Flipboard対抗と言われてるけど、そもそものコンセプトが違うんじゃないかという気も。
つまりオンラインメディアのための電子書籍アプリみたいな位置づけなんじゃないかと。
モバイルデバイス対応を個々のメディアで行わなくても、Producerツールでカンタンにキレイな見た目でモバイルデバイスへのマルチプラットフォーム対応ができるし、あわよくばマネタイズまでできちゃいますよという。
まぁこの辺は想像なので、Googleの本当の狙いはよく分からない。
でも個人的にはCurrentsにはAndroid版Flipboardになって欲しいなぁ…と思っている。
(それくらい久々に使ったFlipboardが気に入ってしまった)
ということで、Currentsは今後も引き続き注視していきたいな、と。